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【FP資格で独立開業】個人事業主になる!申請書類・手続き方法完全マニュアル
本サイトがフォーカスしているのは、ファイナンシャルプランナー資格なので「FP資格で独立開業の道」と銘打っていますが、一般的な個人事業主の手続きもかねていますので、FP業以外での独立をお考えの方や、これから一人親方として頑張って行こうとされている方にも是非読んで欲しい内容となります。
また、FP技能士資格試験ともとても関わりが深い内容となっていますので、一見して無関係に思えますが、資格試験の予備知識や専門性を高める意味でも読んで頂いて損の無い情報となっています。
今回は、個人事業主になるための方法を徹底解説したいと思います。
この記事の目次
個人事業を始めるなら青色申告が必須!
青色申告は収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳し所得を申告する方法です。会計スキルが必要となりますが、まあ会計用のソフトウェアを使って管理するのが普通かと思います。
青色申告する場合の大前提として「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
所得税の青色申告承認申請書
確定申告を青色申告で行う場合に所轄税務署へ提出します。年初~1月15日までに開業した場合は、3月15日迄。それ以降に開業した場合は、開業日から2ヶ月以内に提出する必要があります。節税効果が高い青色申告で確定申告するために必須の手続きとなっています。
所得税の青色申告承認申請書|国税庁個人事業を開業して「所得税の青色申告承認申請書」の申請を出さなければ、白色申告の扱いとなります。まだ仕事に慣れておらず、そこまで気がまわらないと言った事情はおおいに考えられますんで「最初は白色で」と言う方が多いかと思います。
また、青色申告で節税するほどの十分な所得がなく、あまり簿記に詳しくない場合も同様に白色申告で済ませてしまう方も多いようです。
ただし、これらはFP以外の職業としてはOKかもしれませんが、マネーを扱うFPを生業とする以上は青色申告位は把握しておくべきと思いますので、続けてメリット等をまとめておきます。
青色申告のメリットをチェック
青色申告のメリットは大きく5種類挙げる事ができますが、中でもやはり「65万円の青色申告特別控除」が光ります。
青色申告のメリット一覧
- 65万円の青色申告特別控除
- 純損失の繰越し控除
- 青色専従者給与
- 少額減価償却の特例
- 家事按分
上記を見てもよくわからない項目もあるかと思いますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
最強メリット65万円の青色申告特別控除
青色申告で受けられる最強メリットが、青色申告特別控除となります。青色申告特別控除によって、所得から一定の金額を差し引くことで節税効果が得られるという事です。
青色申告特別控除の計算上のメリット
[課税所得] = [収入] – [経費] – [所得控除] – [青色申告特別控除][所得税] = [課税所得] × [税率(5%~45%)] – [税額控除]
税率等については、以下の国税庁のホームページを参照して下さい。
所得税の税率|国税庁青色申告特別控除の控除額は10万円と65万円で別れており、10万円の控除の場合は「単式簿記」で良いのですが、65万円の控除の場合は「複式簿記(貸方・借方の概念)」の知識が必要となってきます。
■単式簿記 |
単式簿記はいわゆる家計簿・銀行の預金通帳に類するもので「残高」に着目した記載方法となっています。
上記を複式簿記で書き直すと、以下の通りとなります。複式簿記ではお金が動いた原因と結果両方を「借方・貸方」の2種類に分けて記載していきます。
■複式簿記(仕訳帳) |
上記に示した帳簿はあくまで取引内容を記載した仕訳帳に過ぎません。青色申告で65万円の控除を受けるためには、仕訳帳とさらに勘定科目毎にまとめた「総勘定元帳」に基づいて「損益計算書(P/L)」や「貸借対照表(B/S)」を作成して提出する必要があります。
取引内容が少なければ良いのですが、多忙を極める中で仕訳帳を作ってP/L・B/Sまで作成するのはかなり面倒です。Excelを使って出来なくはないですが、まあ会計ソフトを使う方が楽ちんです。
一般的な会計ソフト上の情報入力(インプット)は、仕訳帳の取引1行分に相当する箇所となっており、後は自動で作ってくれます。
赤字を3年間繰越可能!純損失の繰越し控除
純損失を全額3年にわたって繰り越すことが可能です。赤字になってしまった年の損失を繰り越す事が出来るので、開業間もない頃や経費がかさんで赤字になってしまった場合に黒字と相殺して所得から差し引くことができますので、節税できます。
■純損失の繰越し例 |
|
上記のパターンの場合何も手続きしないと、きっちり200万円に対して課税されますが、確定申告の際に「申告書第四表(損失申告用)」を提出することで、[200 – 100万円] 分について課税されるため節税可能という訳です。
記載要領については、以下の国税庁のホームページを参照して下さい。
損益通算及び繰越損失額の控除を行う場合の申告書の記載要領|国税庁家族への給与を経費に回す!青色専従者給与
個人事業ではご家族に事業を手伝ってもらうケースも多いことでしょう。事業を手伝ってくれるご家族の事を「専従者」と言い、専従者に支払う給与のことを「専従者給与」と言います。
「専従者給与」は経費に回す事が出来ないのですが、以下のような一定の条件をクリアする事で全額経費に回す事が可能です。
■青色事業専従者に支払われた給与であること | |
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■「青色事業専従者給与に関する届出書」提出している | |
「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。 |
対して、白色申告の場合は専従者への給与を経費にはできませんが「事業専従者控除」として控除する事が可能です。しかし、控除される金額が以下の通り限られています。
■事業専従者控除額の上限値 | |
|
上記No.1~3の具体例を示しておきます。
■事業専従者控除額の上限値 パタンNo.1 | |
収入 | 300万円 |
経費 | 150万円 |
専従者(配偶者) | 1人 |
事業専従者控除額(計算上) | (300 – 150) ÷ (1 + 1) = 75万円 |
■事業専従者控除額の上限値 パタンNo.2 | |
収入 | 500万円 |
経費 | 200万円 |
専従者(配偶者) | 1人 |
事業専従者控除額(計算上) | (500 – 200) ÷ (1 + 1) = 150万円 |
事業専従者控除額(実際) | 86万円 |
■事業専従者控除額の上限値 パタンNo.3 | |
収入 | 500万円 |
経費 | 200万円 |
専従者(息子) | 1人 |
事業専従者控除額(計算上) | (500 – 200) ÷ (1 + 1) = 150万円 |
事業専従者控除額(実際) | 50万円 |
注意して頂きたいのは、事業専従者は配偶者控除や扶養控除が受けられないという点です。このためご家族に支払う給与が少ない場合に、下手に専従者にしてしまうと損をするパターンが出て来てしまいます。
30万円未満の資産を一気に経費にする「少額減価償却の特例」
取得価格が10万円以上の資産や耐用年数1年以上ものは減価償却が必要となり、取得した年に全額経費に回す事は出来ません。しかし、青色申告であれば「少額減価償却資産の特例」を受ける事で、30万円未満の資産を経費として一括計上する事が可能となります。
事業年度における資産の取得価額の合計額は、300万円までとなっていますので注意して下さい。
この特例制度は平成30年3月31日を持って終了となりますから、事業開業後に一気に資産を取得して、経費に計上して節税をしようと考えている方は注意して下さい。
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁「家事按分」で家賃や光熱費を経費に
個人事業主は、自宅のスペースでそのまま仕事をするスタイルが多いと思います。この時、光熱費・通信費・家賃などを「個人的な支出(自宅用)」と「事業用」で分けて、事業として使用している分だけを「経費」として請求することが可能です。
青色申告者は合理的に説明できる内容であれば経費計上することが可能ですが、白色申告の場合は事業で使用している割合が50%以上でないと経費計上出来ないルールが存在しています。
家事関連費(第1号関係)|国税庁何%を事業用として経費計上するかは事業主次第です。なので極端な話100%にしても良いですが、税務署で合理的な説明ができなければ否認されます。家事按分の対象になる例をいくつか挙げておきます。
■地代家賃 | |
床面積から計算 | 仕事で使うスペースの床面積が全体の床面積のうちの何%を占めるのかを元に割合を決定します。 |
業務時間から計算 | 1日の営業時間や作業時間を元に割合を決定します。 |
■光熱費 | |
コンセントの数から計算 | ご自宅のコンセントの数と業務で利用している数の比率から割合を決定します。 |
青色申告のデメリットをチェック
デメリットとしては、複式簿記による帳簿付けを挙げる事が出来ます。この点、簿記の知識を学習して自力でやる場合は時間も労力も掛かりますが、通常会計ソフトウェアを導入して済ませる事が殆どかと思います。
会計ソフトウェアは、更新型ライセンスで年間1万円強と言った所なので、控除・時間短縮のコストメリット的に会計ソフトウェアを導入する方が圧倒的に有利です。
青色申告のデメリット一覧
- 税務署に所得税の青色申告承認申請書の提出が必要
- 65万円の控除を受けるために、複式簿記による帳簿付けが必要
白色申告のメリット・デメリットをチェック
白色申告はシンプルさがウリですが、デメリットとして特別控除を受ける事が出来ない点に尽きると思います。このデメリットは、本気で事業拡大しようとしている方にとって「やっぱり青色申告をしよう!」という動機づけに十分かと思います。
白色申告のメリット一覧
- 帳簿付けの難易度が低い
- 事前に税務署への申請が必要ない
- 確定申告時の提出書類が簡単(収支内訳書・確定申告書B)
白色申告のデメリット一覧
- 青色申告の場合に適用される特別控除が白色にはない
個人事業主として開業するための必須手続き
飲食店であれば食品営業許可申請を保健所へ、防火管理者の専任届出を消防署へ・・・など様々な機関に申請届出する必要がありますが、FPを個人事業として開業する場合は、主に税務署の諸手続きだけで簡単に事業をスタートさせる事が可能です。
①個人事業の開業届出・廃業届出等手続
新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設・増設・移転・廃止したときに提出します。事業を廃止したときにも手続きが必要です。事業の開始等の事実があった日から、1月以内に所轄の税務署へ提出しましょう。
個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁■提出先・期限等の補足情報 | |
提出先 | 所轄の税務署へ提出します。 国税局の所在地及び管轄区域|国税庁 |
提出期限 | 事業の開始等の事実があった日から1月以内 |
②個人事業税の事業開始等申告書
個人事業税の事業開始等申告書は、都道府県の税事務所及び市区町村役場へ事業を開始したことを伝えるために提出します。
個人で事業を営んでいる方は、毎年3月15日までに前年中の事業の所得などを、都道府県税事務所および市区町村役場に申告することになっています。尚、所得税・住民税の確定申告をしている場合は不要となります。
事業開始等申告書は、都道府県により書類名等がバラバラなので基本的には各自治体に従って下さい(なんで一緒にしといてくれないんでしょうね・・・)。東京都の場合は、以下の通りとなっています。
個人事業税|東京都主税局■東京都の場合:事業開始等申告書(個人事業税) | |
提出先 | 事業所を管轄する都税事務所 都税事務所等一覧|東京都主税局 |
提出期限 | 事業を開始した日から15日以内 |
個人事業税の納付時期 | 8月、11月の年2回(第1期納期限 8月31日、第2期納期限 11月30日(※休日の場合はその翌日))。8月に都税事務所・支庁から送付する納税通知書により各納期に納めます。 |
個人事業税の詳しい計算方法
個人事業税とは都道府県が課税する地方税で、一定の事業所得または不動産所得のある個人が納税します。対象となる所得は前年の所得であり、以下の計算式で表されます。
個人事業税の計算方法
[個人事業税額] = [(事業所得 – 290万円)] × [業種毎に決まった税率]
よって所得が290万円を超えない場合は、個人事業税が発生しませんので、申告書を提出せずに事業開始も可能ですが、早めに提出しておくのが良いでしょう。
業種毎にきまっている税率をまとめています。一覧は閉じていますので、閲覧する場合はバーの部分をPCの方はクリック、スマホの方はタップして下さい。
個人事業税 課税所得金額の計算式は以下の通りとなっており、下記で算出した金額に税率を掛け算します。
個人事業税 課税所得金額の計算式
①事業所得及び不動産所得
- ②青色事業専従者給与と事業専従者控除
+ ③青色申告特別控除額
- ④事業主控除
- ⑤繰越控除
■個人事業税 計算式内訳 | |
項目 | 概略 |
①事業所得及び不動産所得 |
前年の1月1日から12月31日までの1年間の事業から生じた事業所得又は(及び)不動産所得で、事業の総収入金額から必要経費、青色申告特別控除額等を控除して計算します
所得の計算式は 、[所得] = [総収入] – [経費] – [青色申告特別控除] となるため、ここで一旦「青色申告特別控除」を加味していますが、後の[③]で加算して相殺しています。 |
②青色事業専従者給与(青色申告)と事業専従者控除(白色申告) | 一定の要件のもとに実際に支払った給与の額を必要経費として控除可能です。青色申告の場合は専従者(ご家族従業員)への給与支払額、白色申告の場合は事業主の配偶者の場合86万円、それ以外は50万円/人までを事業専従者控除として控除出来ます。 |
③青色申告特別控除額 | 青色申告特別控除(10万 or 65万)の適用はありませんので、所得金額に加算します。[①]で一旦控除されますがここで加算することで相殺します。 |
④事業主控除 | 事業主控除290万円 控除額は年間290万円(営業期間が1年未満の場合は月割額)です。 |
⑤繰越控除 | 青色申告者で赤字の場合、損失を翌年以降3年間繰り越して控除することが出来ます(白色申告の場合は控除出来ません)。 |
減価償却資産の償却方法の届出書
提出期限は確定申告書の提出期限(3月15日)までとなっています。
所得税の減価償却資産の償却方法の届出手続|国税庁建物・自動車・備品等は使用している間に年々価値が減少していきます。FP業としてまず思いつくのがパソコンだと思います。そういった物に関しては、毎年価値が減少した分を費用として計上します。これを減価償却と言います。購入費用全額が全てその年の経費に回せる訳ではない点がポイントとなっています。
減価償却の対象となるのは、事業等の業務のために用いられる建物・建物付属設備・構築物・機械装置・器具備品・車両運搬具等の資産です。しかし、使用可能期間が1年未満のもの又は、取得価額が10万円未満のものは、取得をした時に全額経費となります。
減価償却の方法には「定額法」と「定率法」の2種類が存在していますが、「定額法」はその名の通り毎年同じ額を費用として計上する方法です。対して、「定率法」は初期の費用が多く計上されて年々費用計上額が減少していく方法となっています。
「減価償却資産の償却方法の届出書」は定率法を利用したい場合に提出する書類となっています。個人の場合、届出書を提出しなければ減価償却の方法はすべて「定額法」になります。
定額法等定率法の違いをチェック
減価償却資産の償却方法の届出書を提出しなかった場合は、個人・法人で自動的に以下の表の通り決定されます。減価償却の方法が選択できる資産には「◯」を記載しています。
■減価償却の方法 | |||
資産の種類 | 定額法・定率法の選択が可能か | 個人 | 法人 |
建物 | ×選択不可 | 定額法 | 定額法 |
建物付属設備 | ×選択不可 | 定額法 | 定額法 |
構築物 | ×選択不可 | 定額法 | 定額法 |
機械装置 | ◯ | 定額法 | 定率法 |
車両運搬具 | ◯ | 定額法 | 定率法 |
器具備品 | ◯ | 定額法 | 定率法 |
ソフトウェア | ×選択不可 | 定額法 | 定額法 |
定額法と定率法の計算方法について
どのみちFP資格や簿記の試験範囲なので、良い機会ですから計算方法等を整理しておきましょう。
■定額法 計算方法 | |
計算ルール |
[減価償却費] = [取得原価] × [定額法の償却率] 平成19年4月1日以降に取得した資産に定額法を採用する場合は、残存価額・償却可能限度額も0円で計算します。 |
取得原価 | 1,000,000円 |
耐用年数 | 10年 |
償却率 | 0.100 |
年数 | 期首帳簿価格 | 減価償却費 | 期末帳簿価格 |
1 | 1,000,000 | ×0.1 = 100,000 | 900,000 |
2 | 900,000 | ×0.1 = 100,000 | 800,000 |
3 | 800,000 | ×0.1 = 100,000 | 700,000 |
4 | 700,000 | ×0.1 = 100,000 | 600,000 |
5 | 600,000 | ×0.1 = 100,000 | 500,000 |
6 | 500,000 | ×0.1 = 100,000 | 400,000 |
7 | 400,000 | ×0.1 = 100,000 | 300,000 |
8 | 300,000 | ×0.1 = 100,000 | 200,000 |
9 | 200,000 | ×0.1 = 100,000 | 100,000 |
10 | 100,000 | ※① 99,999 | 1 |
※①で示した部分は本来は10,000なのですが [10,000 – 1 = 9,999] にすることで、期末帳簿価格を1円として備忘価格として残すルールとなっています。続いて、定率法を見てみましょう。
■定率法 計算方法 | |
計算ルール |
初期の費用が多く計上されて年々費用計上額が減少していく方法です。平成24年4月1日以降に取得した固定資産に定率法を採用する場合、200%定率法が適用されます。定額法の償却率の2倍に設定されているため200%定率法と呼ばれています。
[期首帳簿価額] × [償却率] = [減価償却費] の計算式が基本ですが、[償却費] < [償却保証額] となったタイミングで、[減価償却費] = [改定取得価額] × [改定償却率] に切り替わる点がポイントとなります。 まあ口で説明していてもよくわからないと思いますので、後述している計算結果を見て下さい。 |
取得原価 | 1,000,000円 |
耐用年数 | 10年 |
償却率 | 0.200 |
[期首帳簿価額] × [償却率] = [減価償却費] の計算 | |||
年数 | 期首帳簿価格 | 減価償却費 | 期末帳簿価格 |
1 | 1,000,000 | ×0.2 = 200,000 | 800,000 |
2 | 800,000 | ×0.2 = 160,000 | 640,000 |
3 | 640,000 | ×0.2 = 128,000 | 512,000 |
4 | 512,000 | ×0.2 = 102,400 | 409,600 |
5 | 409,600 | ×0.2 = 81,920 | 327,680 |
6 | 327,680 | ×0.2 = 65,536 | 262,144 |
7 | 262,144 | ※① ×0.2 = 52,428 | 209,716 |
8 | 209,716 | ×0.2 = 41,943 | 167,773 |
9 | 167,773 | ×0.2 = 33,554 | 134,219 |
10 | 134,219 | ×0.2 = 26,843 | 107,376 |
[期首帳簿価額] × [償却率] = [減価償却費] の計算は上記の通りです。これだけならシンプルなのですが、実は上記の表は一部間違っており、※①の部分で [償却費] < [償却保証額] となるため償却費の額が変化します。
[償却費] < [償却保証額] の考え方 | |
---|---|
※①の部分の償却費 | 償却保証額 |
52,428 | [取得原価] × [保証率] → 1,000,000 × 0.06552 = 65,520 |
この時の期首帳簿価格を「改定取得価格」と言い、「改定償却率」を乗算した結果が「減価償却費」になります。
[償却費] < [償却保証額] 以降の減価償却費 | |
---|---|
計算式 | [改定取得価格] × [改定償却率] → 262,144 × 0.250 = 65,536 |
実際に当てはめてみると以下のようになります。
[償却費] < [償却保証額] 考慮後の計算 | |||
年数 | 期首帳簿価格 | 減価償却費 | 期末帳簿価格 |
1 | 1,000,000 | ×0.2 = 200,000 | 800,000 |
2 | 800,000 | ×0.2 = 160,000 | 640,000 |
3 | 640,000 | ×0.2 = 128,000 | 512,000 |
4 | 512,000 | ×0.2 = 102,400 | 409,600 |
5 | 409,600 | ×0.2 = 81,920 | 327,680 |
6 | 327,680 | ×0.2 = 65,536 | 262,144 |
7 | 262,144 | 65,536 | 196,608 |
8 | 196,608 | 65,536 | 131,072 |
9 | 131,072 | 65,536 | 65,536 |
10 | 65,536 | 65,536 | 1 |
従業員を雇うために必要な手続きをチェック
奥様や旦那様(ご家族)を従業員として雇用して個人事業を開始する場合、以下のような書類を提出する必要があります。
青色事業専従者給与に関する届出書
青色申告のメリットで少し触れましたが、青色申告者(あなた)が事業に従事するご家族(専従者)に支払う給与を、必要経費として認めてもらうために提出する書類です。届出書を提出しておけば、ご家族に対して支払った給与を経費として扱うことが可能となります。
青色事業専従者給与に関する届出書|国税庁■提出先・期限等の補足情報 | |
提出先 | 所轄の税務署へ提出します。 国税局の所在地及び管轄区域|国税庁 |
提出期限 | 専従者を置いた日から2ヶ月以内、年初~1月15日までに開業した場合は、その年の3月15日迄に提出(その年の1月16日以後に開業した場合はその日から2ヶ月以内)。 |
添付書類 | 届出書に記載した内容とは別に給与規程を定めているときは、その写し(コピー)を1部提出。 |
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
ご家族・従業員を雇って給与を支払うようになった場合に税務署に対して提出する必要があります。ただし、新たに事業を始めたり事業を行うために事務所等を設けた場合は、先にご説明した「個人事業の開業届出・廃業届出」を所轄税務署に申請していますので、この書類は提出不要となります。
給与支払事務所等の開設届出書|国税庁■提出先・期限等の補足情報 | |
提出先 | 所轄の税務署へ提出します。 国税局の所在地及び管轄区域|国税庁 |
提出期限 | 開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内。 |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請を行うための書類です。従業員を雇って給料を支払うようになると、事業主(あなた)は「源泉徴収義務者」の位置づけとなります。
源泉徴収義務者は、給与から所得税を源泉徴収してそれを原則として徴収した日の翌月10日までに、税務署へ納税するのが原則となっています。しかし、家族経営など給与の支払人員が10人未満の事業所の場合は、年2回にまとめて納付できるという特例制度です。
個人事業としてFPをはじめた場合はかなり多忙を極めているでしょうから、毎月納税するのは手間ですからこの特例制度を活用します。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請|国税庁■提出先・期限等の補足情報 | |
提出先 | 所轄の税務署へ提出します。 国税局の所在地及び管轄区域|国税庁 |
提出期限 | 提出期限は特に定められていません。この申請書を提出した月の翌月末日までに税務署長から承認又は却下の通知がなければ、この申請書を提出した月の翌月末日に承認があったものとされ、申請の翌々月の納付分からこの特例が適用されます。 |
従業員を雇ったら、社会保険の手続きをしよう
従業員を雇用する場合は、社会保険に関する手続きが必要となってきます。従業員を雇うと言うことは責任が伴いますので、事業主としてしっかりと把握しておいて下さい。
社会保険の前提知識を超簡単まとめ
そもそも社会保険の種類がイマイチピンと来ていない方もいらっしゃるかと思いますので、簡単に図式しておきます。
■社会保険の内訳 | |
社会保険 | 健康保険・厚生年金保険 |
労働保険 | 労災保険・雇用保険 |
社会保険とは健康保険・厚生年金保険を意味すると理解して頂いて構いません。ややこしいと思いますので、クドイかもしれませんがなるべく健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険を明記して解説したいと思います。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の新規加入の手続き
社会保険の加入形態には「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2種類があり、事業の種類・従業員数によって以下の通り決まります。任意適用事業所は従業員の半数以上が適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けた場合に加入する事が可能です。
「強制適用事業所」は法律により、事業主や従業員の意思に関係なく社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が定められています。社会保険の適用を受ける事業所を「適用事業所」と言います。
■健康保険・厚生年金保険 | ||
事業所の種類 | 労働者の数 | |
5人以上 | 5人未満 | |
法人事業所(会社) | 人数無関係に強制加入 | |
個人事業(法定16業種) | 強制加入 | 任意加入 |
個人事業(法定16業種以外) | 任意加入 | 任意加入 |
FP業は弁護士、会計士、社会保険労務士などの法務業と同じなので、個人事業所で例え従業員が5人以上いても社会保険(健康保険・厚生年金保険)の強制適用事業所にはならず、任意加入となります。
任意加入なので「従業員を雇用しても社会保険に関する手続きは無視!」と言いたいところですが、法定16業種向けの方のためにせっかくなので解説したいと思います。社会保険の加入手続き的に必要な書類は以下の3種類となっていますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
■社会保険の加入に必要な書類 |
|
健康保険・厚生年金保険 新規適用届
「新規適用届」は事業所が健康保険及び厚生年金保険に加入すべき要件を満たした場合に、最初に事業主が日本年金機構へ提出する必要があります。
新規適用の手続き|日本年金機構■提出先・期限等の補足情報 | |
提出先 | 事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出します。電子申請、郵送、窓口持参による提出が可能です。 全国の相談・手続き窓口|日本年金機構 |
提出期限 | 事実発生から5日以内 |
添付書類等 |
法人(商業)登記簿謄本、および住民票は直近の状態を確認するため、提出日から遡って90日以内に発行されたものを提出する必要があります。 |
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
従業員の方が適用事業所に雇用され、社会保険に加入するためには事業主(あなた)が「被保険者資格取得届」を日本年金機構へ提出する必要があります。事業所に常時使用される人(事業主のみの場合を含む)は、国籍・性別・賃金の額等に関係なくすべて被保険者となります。
■提出先・期限等の補足情報 | |
提出先 | 事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出します。電子申請、郵送、窓口持参による提出が可能です。 全国の相談・手続き窓口|日本年金機構 |
提出期限 | 事実発生から5日以内 |
添付書類等 |
本人確認のため、被保険者となる方の氏名、生年月日、性別、住所、マイナンバーまたは基礎年金番号を本人に確認しておく必要があります。
添付書類は原則として必要ありませんが、以下のNo.1~3に当てはまる場合はケースバイケースで別途添付書を準備する必要があります。
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健康保険 被扶養者(異動)届
新たに従業員を採用し健康保険に加入する場合、従業員に被扶養者がいる場合に提出します。また、従業員の被扶養者に変更があった場合も事業主を経由してこの書類を提出します。
■健康保険の被扶養者の範囲 |
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■被扶養者の削除が必要なケース |
年間収入とは過去における収入のことではなく、被扶養者に該当する時点及び認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。給与所得等の収入がある場合月額108,333円以下。雇用保険等の受給者の場合日額3,611円以下である事が条件です。 |
■提出先・期限等の補足情報 | |
提出先 | 事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出します。電子申請、郵送、窓口持参による提出が可能です。 全国の相談・手続き窓口|日本年金機構 |
提出期限 | その都度 |
添付書類等 |
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シニア世代の雇用 厚生年金保険70歳以上被用者該当・不該当届について
70歳以上の方を新規で雇用する場合や、従業員が70歳を超えてもバリバリ働いているケースについて少し触れておきたいと思います。今はあまりないケースですが、今後増えてくるかもしれないケースなので、あえて記載することにしましたが無関係の方はスルーしてもらって良いです。
70歳以上の従業員を採用、あるいは従業員が70歳になった時には「厚生年金保険70歳以上被用者該当・不該当届」を提出する必要があります。これは平成19年4月1日以降、元々60歳代後半の方にのみ適用されていた「在職老齢年金制度」が範囲拡大によって70歳以上被用者にも適用されるようになったためです。
70歳以上の従業員を採用又は従業員が70歳になったときの手続き|日本年金機構■70歳以上被用者とは? |
70歳以上であって厚生年金保険の適用事業所に新たに使用される人、または被保険者が70歳到達後も継続して使用される場合で、次の要件に該当する人を指します。
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在職老齢年金とは、60歳代後半以上の人が現役並の賃金を得ている場合、賃金と年金の合計月額が一定額を超える場合に年金の全部または一部が支給停止となるものです。
この話を聞くと「さっさと働くのを辞めて年金暮らしを満喫しよう!」となってしまいかねませんが、まあ簡単に言うと「現役並の収入があるんだから年金貰えなくても問題ないでしょ?」という事になります。
で、元々は60歳代後半の方だけが在職老齢年金に該当していたんですが、70歳以上にも範囲が広がった関係で届け出が必要になったという訳ですね。
この届出書類はあくまで厚生年金に関わるものなので、75歳になって後期高齢者医療制度に移行するまでの間は健康保険は被保険者のままです。新たに70歳以上の方を従業員として採用する場合は、「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」及び「健康保険被保険者資格取得届」を提出します。
従業員を雇ったら、労働保険の手続きをしよう
続いて労働保険(労災保険・雇用保険)について見ていきましょう。
動労保険の前提知識を超簡単まとめ
労災保険と雇用保険を一纏めにして「労働保険」と言います。労災・雇用保険は保険制度としては別個に取扱うのですが、保険料の徴収などの手続きは労災・雇用保険を一体として取り扱います。
このように労災保険と雇用保険を一体として取扱う事業を「一元適用事業」と言い、別々に取扱う事業を「二元適用事業」と言います。
尚、記載の内容は一元適用事業のみとなっていますので予めご了承下さい。
二元適用事業(建設業等)の場合は、労災と雇用保険を別々に扱いますので、手続きが少し異なっています。一元適用事業と二元適用事業の違いが知りたい方は、こちらをクリックして下さい。
労災保険は、業務上あるいは通勤中における従業員のケガ・病気・死亡に対して給付を行う制度です。雇用保険は、労働者が失業した場合に失業手当が給付される制度です。また、雇用の安定化や再就職の支援を行う事も雇用保険制度の重要な役割の1つです。
当サイトでご紹介しているFP通信講座は、受講料の20%がハローワークから支給される「一般教育訓練給付制度」を適用可能な講座コースもありますが、この制度は雇用保険の被保険者であった期間が通算1年以上の場合に利用可能となっており、雇用の安定と再就職の促進を図る事を目的とする雇用保険の給付制度のひとつです。
細かい条件はあるものの、基本的に従業員を1人でも雇った場合には、労働保険の適用事業となります。労災保険は「労働基準監督署」へ、雇用保険は「公共職業安定所(ハローワーク)」へ届け出を行う必要があります。
必要な書類は大きく以下4種類となっていますので、それぞれ見ていきましょう。
※一元適用事業の場合
■労働基準監督署等へ提出する書類 |
労働保険 保険関係成立届 |
労働保険 概算保険料申告書 |
■公共職業安定所(ハローワーク)へ提出する書類 |
雇用保険適用事業所設置届 |
雇用保険被保険者資格取得届 |
労働保険 労働保険関係成立届
労働保険の適用事業となったときは、まず最初に労働保険の「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署に提出します。
労働保険保険関係成立(継続)|e-Gov■提出先・期限等の補足情報 | |
提出先 | 所轄の労働基準監督署に提出します。 全国労働基準監督署|厚生労働省 |
提出期限 | 保険関係が成立した日から10日以内 |
添付書類等 | 法人登記簿謄本/個人事業の場合は住民票 |
労働保険 概算保険料申告書
概算保険料申告書と共に、その年度分の労働保険料を概算保険料として申告・納付します。保険料は保険関係が成立した日から、その年度の末日までに労働者に支払う賃金の総額の見込額に、保険料率を掛け算して得た額となります。
年間でどのくらいの保険料になりそうなのかを先に申告するのが「概算保険料申告書」の役割です。先程記載した保険関係成立届の提出と同時に手続きしてしまうのが一般的です。
労働保険概算保険料の申告(継続)|e-Gov■提出先・期限等の補足情報 | |
提出先 | 所轄の労働基準監督署、または 都道府県労働局、または 日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店または支店・郵便局)でも可)。 全国労働基準監督署|厚生労働省 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省 |
提出期限 | 保険関係が成立した日から50日以内 |
添付書類等 | 労働保険 保険関係成立届(事業開始時) |
雇用保険適用事業所設置届
事業所で雇用保険の適用を受けるために必要な書類です。
雇用保険適用事業所設置届|ハローワーク■提出先・期限等の補足情報 | |
提出先 | 所轄の公共職業安定所 全国ハローワークの所在案内|厚生労働省 |
提出期限 | 設置の日の翌日から10日以内 |
添付書類等 |
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雇用保険被保険者資格取得届
雇用保険は従業員が自分で加入する訳ではなく、事業主が手続きをする必要があります。事業主が雇用する労働者が、雇用保険の被保険者となる場合に提出する書類です。
雇用保険被保険者資格取得届|ハローワーク■提出先・期限等の補足情報 | |
提出先 | 所轄の公共職業安定所 全国ハローワークの所在案内|厚生労働省 |
提出期限 | 資格取得の事実があった日の翌月10日まで |
添付書類等 | 労働者名簿、タイムカードや出勤簿など |
個人事業主になるための申請書類・手続き方法、まとめ
今回は、個人事業主としてスタートするための基礎的な情報をギュッと凝縮してお伝えしてきましたが、如何だったでしょうか。
青色申告は、普通のサラリーマンでも医療費控除等の財テクがてら嗜(たしなむ)んでいる方も多いと思いますが、個人事業主として独立されたらどの道避けて通れないので概要だけでも把握しておいて損はないと思います。
節税のための細かいテクニックは、ノウハウ本等も多数出版されているので、敢えて管理人が記載するまでもないと思いますが、機会があれば何処かでレポートしたいなとは思っています。予定は未定ですが(笑)。
一応、個人事業主の方向けに制度や手続き重視で記載してはいるものの、ファイナンシャルプランナー資格試験と縁深い内容となっていますので、通信講座等のカリキュラムで近い部分を学習する時は、この記事の事を思い出して読み返して頂くと、より良い学習効果が期待できると思います。
テキストと記載してある情報とほぼ内容は同じなのですが、違った視点で記載されている情報を読むと、刺激になって記憶に定着しやすくなるためです。
社会保険関係の情報は割愛している部分も多いので、もっと詳しく知りたい方は社会保険の加入条件や種類について、以下の記事で詳しく記載していますので、是非ご一読頂ければと思います。
個人事業主の場合、法人を設立するよりも手続き的には簡易的です。従業員を雇わなければ、社会保険関係の手続きもご自身の事だけ気にしていれば良いので結構気楽と言えます。
個人事業主としてスタートさせた事業が上手く軌道に乗って来たら、今度は法人を設立して更に事業を拡大する事になると思います。興味のある方は以下の記事もあわせて読んでみてくださいね。