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FP資格試験の難易度を傾向分析、出題内容・出題範囲総まとめ
今回は、3級~1級FP技能士試験の出題内容を整理してみたいと思います。FP資格試験の実技試験は、科目選択があるために受験者を大変悩ませる要因となっていますので、出題内容から科目を決定する手助けになればと思います。
出題内容を羅列しても芸が無いので、資格等級間の比較や金財(きんざい)と日本FP協会2団体の出題内容の傾向分析なども合わせて実施していますので、是非参考にして頂ければと思います。
また、今後のFPのニーズに合わせた実技試験の科目選択方法をコラム的に記載していますので、科目選択でどうしても決め手に欠けて、悩んでいる方の手助けになれば幸いです。
本記事は、以下のような方をターゲットにして記載しています。
FP技能士試験の出題内容を知っておきたい
- どのような試験内容なのか知りたい
- 団体ごとの出題内容に違いはあるのか?
- 出題内容を見て科目選択を検討したい
- 今後の事を考えて実技試験は仕事に役立つ科目を選択したい
- 法改正があった場合試験内容に変化はあるのか?
本試験の解答速報はこちら です、試験の手応えをチェックしてみましょう!
この記事の目次
3級FP・2級FP技能士 学科試験の内容と違いを整理
学科試験は以下の6つの科目が出題されます。科目(大分類)的には3級・2級で差異はないのですが、2級FPの方が出題範囲の広さ・深さ共に上となります。金財(きんざい)と日本FP協会で問題は同じです。
学科試験は顧客のライフスタイルや経済環境などを把握し分析する能力が問われ、マネーに関する幅広い知識が問われる出題内容となっています。
科目名 | 概略 |
---|---|
A.ライフプランニングと資金計画 | 社会保険・年金・住宅ローン・住宅資金などについて |
B.リスク管理 | 保険商品全般とリスク管理についての知識 |
C.金融資産運用 | 株式・為替・債券・投資信託など、資金の運用方法の知識 |
D.タックスプランニング | 所得税・法人税・消費税など税金(TAX)に関する知識 |
E.不動産 | 不動産取引・査定・法規等の知識 |
F.相続・事業承継 | 贈与・相続に関する法律や税金の知識 |
ざっくり科目と概要を見ただけでも、私達の日常に密接に関連する事柄ばかりが出題されるという事がわかると思います。
2級FPにだけ出題される出題内容はコレだ!
3級と2級の科目(大分類)に差異はありませんが、出題範囲が微妙に異なっています。当然上位の資格である2級の方が範囲は広くなりますが、初学者の方に試験内容の範囲を全部提示してもイマイチピンと来ないかと思います。なので、違いだけ明確にするため抜粋して記載すると以下 の通りとなります
科目名 | 2級FPだけの出題内容 |
---|---|
A.ライフプランニングと資金計画 | 9.中小法人の資金計画 |
D.タックスプランニング |
10.法人税 11.法人住民税 12.法人事業税 13.消費税 14.会社、役員間および会社間の税務 15.決算書と法人税申告書 16.諸外国の税制度 |
F.相続・事業承継 |
9.事業承継対策 10.事業と経営 |
カンの良い方は、上記の差異を見てお気づきかと思いますが法人・事業・経営に関わる部分が2級FPでは出題範囲に追加されています。経営する立場の顧客に対しての知識強化という面と、ご自身が独立する時にも役立つ知識の基礎が加わっているという事です。
全科目の出題範囲を確認したい方向けに以下に記載しています。PCの方はクリック、スマホでご覧の方はタップして御覧ください。
ちなみに出題範囲の数だけで言うと以下の通りの差異になります。全体の数からするとそこまで大きな違いはない事が分かると思います。
科目別出題範囲の数 | ||
---|---|---|
科目名 | 3級FP | 2級FP |
A.ライフプランニングと資金計画 | 10 | 11 |
B.リスク管理 | 7 | 7 |
C.金融資産運用 | 13 | 13 |
D.タックスプランニング | 10 | 17 |
E. 不動産 | 9 | 9 |
F.相続・事業承継 | 9 | 11 |
合計 | 58 | 68 |
これが流石に2倍程違うという事であれば、いきなり2級FPを受けるのは流石に気がひけるところですが、この程度の差なら一気に2級を受けてしまおうと言う考え方が出てくるのも納得です。
ちなみに、3級を飛ばして2級を受けるには条件がありますので以下 の記事を参照してみて下さい。
3級FP技能士 実技試験の内容をチェック&解説
3級FPは、事例形式の3択問題となっており、受験する団体によって選択可能な科目が異なりますので団体別に記載します。
3級FP 実技試験 金財(きんざい)
科目名 | 個人資産相談業務 |
---|---|
|
「個人資産相談業務」は全般的にFPに関わる事柄が穴埋めや事例形式で出題されます。事例形式で家族構成等が示されているのですが、事例に対する詳細な分析やFP的なアドバイスを選択させるわけではなく、よくよく問題を読んでみると多くは国民年金・株式・相続等の基礎的な内容(法律の基礎知識)等を問う問題が多い傾向にあります。
科目名 | 保険顧客資産相談業務 |
---|---|
|
「保険顧客資産相談業務」は、名前の通り保険にかかわる事例形式の設問が主になりますので範囲が狭く、単純な穴埋めではなくより事例に即した設問となります。例えば生命保険の見直しを掛けたいけど、どのようなアドバイスが適切か?といった設問が具体的な事例と共に登場します。「個人資産相談業務」よりも実務に近いので、FPらしいっちゃあらしい実技試験科目となります。
3級FPにとにかく合格したい・FPの知識を広くカバーしたいという方は「個人資産相談業務」を選択するのが良いかもしれません。合格率も「個人資産相談業務」の方が高くなっています。
3級FP 実技試験試験 日本FP協会
科目名 | 資産設計提案業務 |
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日本FP協会は「資産設計提案業務」のみで科目の選択は出来ません。出題範囲は、金財で言うところの「個人資産相談業務」と類似しています。
問題の事例が具体的な傾向にある事が特徴で、株式の分析問題では四季報から実在する会社を引っ張ってきて「配当金はいくらもらえるのか?」と言った問題もあり、時事ネタ(お金に関する事)も織り込んだような問題も出題されるので、問題を解いていてかなり日常をイメージ出来る形になっています。
ただ、金財と違ってセオリー通りの問題が出題される訳ではないように思いますので、「対策問題集と違う・・・」と一瞬戸惑うような事例もあったりするのですが、よく考えるときちんと3級FPの出題範囲におさまっており、突拍子もない対応不能な問題が出題される事は少ない印象です。
尚、3級FP実技試験は日本FP協会の方が合格率が高くなっています。日本FP協会の方が問題が簡単という側面と、他にも合格率を底上げしている要因がありますので、興味のある方は是非以下 の記事を読んでみてください。
2級FP技能士 実技試験の内容をチェック&解説
2級も3級同様受験する団体によって選択可能な科目が異なり、事例形式で選択・穴埋め問題が出題されます。金財の実技試験は、3級FPの科目に加えて「生保顧客資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」の2つが追加になっています。
「顧客の立場に立った相談」という出題カテゴリーが増えていますので、全体的にFPの業務に則した実践的な問題が出題される傾向が強くなります。
2級FP 実技試験 金財(きんざい)
科目名 | 個人資産相談業務 |
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学科試験のA~Fに相当する6科目が事例形式で出題されますので、出題範囲は広くなりますが個々の問題は深掘りせず基礎的な印象です。
金財の実技試験の中では最も受験者数も多いため、対策問題集も他の科目に比べてそこそこ充実しています。2級FPの合格を目指す方で特に科目に対するこだわりの無い方は、きんざいの「個人資産相談業務」か、あるいは日本FP協会の「資産相談業務」を受験する形になるかと思います。
科目名 | 生保顧客資産相談業務 |
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3級FPの実技試験の「保険顧客資産相談業務」が、2級FPの実技試験では「生保顧客資産相談業務」と後述する「損保顧客資産相談業務」に科目が別れます。
「生保顧客資産相談業務」は、主に生命保険・医療保険・介護保険など「人」に密接にかかわる保険に関する問題が事例形式で出題されます。相談者の状況を踏まえた上で、適切な保険商品の提案や見直しの能力が求められます。
科目名 | 中小事業主資産相談業務 追加 |
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中小企業の経営者を対象とした相談内容が事例形式で出題されます。貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)など会社の財務状況を把握して適切な提案をしたり、余剰資金の投資運用など富裕層向けの問題も出題されます。
受験者数が少ないため対策問題集も限られており、日常生活で我々一般人が触れる事がないような問題が出題される傾向にあるので、FP初学者の方がいきなり手を出すのは控えた方が良い科目と言えそうです。
しかしながら、扱うジャンル的に税理士や社労士に親和性のある科目と言えるので、将来的にFPと合わせてダブルライセンスを取得して経営者層をターゲットとしたビジネスを展開していきたいと言う具体的な目標がある方は、「中小事業主資産相談業務」を選択しても良いでしょう。
科目名 | 損保顧客資産相談業務 追加 |
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先ほど述べた「生保顧客資産相談業務」と同じく保険に関する科目ですが、内容は「自動車・地震・火災」などの固定資産・不動産に関係する保険に関する問題、ざっくり言うと人以外のモノに関連する問題が事例形式で出題されます。
この損保顧客資産相談業務、実は2級FPの実技試験の中ではトップの合格率誇っています(日本FP協会よりも高いです)。
しかし、「生保顧客資産相談業務」の受験者数が毎回8,000人程度に比べて「損保顧客資産相談業務」の場合は、数百人程度の受験者数しかいませんので、高い合格率を鵜呑みにして受験するのは、十分なサンプルデータがないので少々短絡的かと思います。
「生保顧客」と「損保顧客」は扱う保険が違うものの、出題内容は似たりよったりのところがあります。金財が出版している問題集でも「生保顧客」と「損保顧客」はセットになっており、将来的に受験者数が増えてくれば両者の合格率は近い所に落ち着くのではないかと推測します。
現状、この科目に精通している方(業界人)が受験しているので、合格率が高くなっていると分析するのが妥当かと思います。
2級FP 実技試験 日本FP協会
科目名 | 資産設計提案業務 |
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妙な引掛け問題による問題の難化ではなく、3級FPの純粋強化版と言った印象です。内容は具体性に富んでおり、我々の日常生活に直結するシーンを事例形式で出題していますので、解いていてイメージしやすいので学習も進めやすいと思います。
初学者の方やご自身でご家庭の家計やライフプランの見直しをしたいとお考えの方は、学習内容がすぐに日常生活に直結すると言う意味で日本FP協会での受験を念頭に置いた学習を進めるのが効率が良さそうです。
多くの通信講座が日本FP協会の対策を主軸にしており、市販の対策問題集も充実しています。合格率の実績や傾向からみても、2級FPの実技は日本FP協会で受験するのが今のトレンドと言えそうです。
実技試験 2級FPの科目選択で悩む人へ、ニーズ分析
金財(きんざい)の2級FP実技試験は4種類の科目から選択する事になります。合格率や受験率などから、受かりやすいと思われる科目の議論や分析は様々なされているのですが、ここでは科目が今の時代のニーズに即しているのか?の観点でコラム(読み物)的に記載してみたいと思います。
※【】内にそれぞれの科目にかかわるキーワードを記載してみました。
【家族/高齢化/病気】生保顧客資産相談業務
生命保険や医療保険が該当し、世代を問わずどのような収入の世帯に対しても一定のニーズがあるジャンルとなります。
20代~40代の方の親御さんは子供に少しでも資産を残してやりたいし、ただでさえ収入減が取りざたされる現役世代に、病気や介護で迷惑を掛けたくないと考えています。このような考えを持つ高齢世代が最もお金を持っている事実から勘案し、今一番ホットなジャンルと言えるでしょう。
市場の高いニーズを背景に様々な商品が開発され、生命・医療に関する保険商品は多様性を極め複雑になってきていますので。FPへの相談は今後も増加が見込まれます。
【所得格差/二極化/富裕層】中小事業主資産相談業務
戦後の1億総中流階級の時代が終焉を迎え、貧富の二極化が進んでいます。お金はある所にはあるもので、余裕資金を銀行で腐らせておくぐらいなら事業に回したい・投資に回したいと言った相談のニーズは常にあります。
顧客の数は絞られますが、こういったニッチ且つ爆発力のあるジャンルに特化して深掘りしておくと、将来的に巨額の収入を得る事も可能かもしれません。
また、後述する損保顧客相談業務で述べているような地政学的リスクや情勢不安等がピークに近づくに連れて、富裕層は自身の持つ余裕資金をどのように取り扱えば安全・安心であるかの選択を迫られる事になります。
上記のような情勢下では、我先にと大きな資金シフトが起こりますのでFPが活躍する事になります。特に、グローバルな視点で提案出来るFPには大きなチャンスと言えそうです。
受験者数は少なく対応している参考書等もまだまだなので、単純にFPに合格すると言う意味ではおすすめしづらいのは事実ですが、富裕層や資産家のコンサルティングをビジネスの主軸としたい「貧乏人は相手にしたくない!」という人はこの科目で攻めて布石をうっておくのも手です。
【不動産投資/南海トラフ/車社会】損保顧客資産相談業務
ローン金利は低い状態を維持しており、金融機関は個人への融資に積極的です。
昨今セミナー等も盛んに開催されており、将来の資産構築を考える人々の間でちょっとした不動産投資ブームが到来しています。金利が低い状態が続けば、不動産への個人投資は続くと考えられます。
当然、金融機関から不動産取得のための借り入れを行った後、何時ぐらいから黒字転換するのか?老後の余裕資として十分な資産が構築できるのか?といった疑問が湧いてくるはずですから、これらの相談に対応するFPの出番となります。
また、不動産の取得はリスクと隣り合わせです。天災・災害に合ったときのために保険加入は必須となりますから、損害保険加入の相談のニーズを見込めます。
地政学的リスクや南海トラフの件もありますので、しばらくは安定して顧客を獲得出来そうです。そもそも不動産が世界から消える事はありませんし、自動車が消えることもありませんから比較的安定したニーズのある科目(ジャンル)と言えそうです。
ニーズ分析と将来のビジョンを持つ事の重要性
とにかく合格!という方は、統計的な傾向は既に出ていますので、確率が高いと思われる科目や団体で受験するのをおすすめ致します。
敢えて「合格率や受験率だけで選択科目の結論を出すのはちょっと待った!」という、最短合格のセオリーにはないアンチテーゼを唱えてみました。
全科目もとい、全ジャンルに精通している人材が最強なのは当たり前ですが、人間そこまで万能ではありませんので何か1つ強みを持っている事が重要と考えます。将来のキャリアプランを考えた科目を受験してみては?と一石を投じておきます。
独立を視野に入れている方・転職・就職を目指す業界が具体的になっている方・検討段階の方は将来のビジョンに沿った科目を学習して「コレだけは他の人には負けない!」と言う強みを持って頂ければと考えます。
1級FP技能士 学科試験の内容をチェック
1級FPの学科試験は、「基礎編」と「応用編」から構成されています。現状では学科試験は金財(きんざい)でのみ開催されており、日本FP協会では受験する事は出来ません。2級FPの学科試験が「基礎編」で実技試験が「応用編」に置き換わったような出題内容となっています。
出題科目は以下のとおりです。
科目名 | 概略 |
---|---|
A.ライフプランニングと資金計画 | 社会保険・年金・住宅ローン・住宅資金などについて |
B.リスク管理 | 保険商品全般とリスク管理についての知識 |
C.金融資産運用 | 株式・為替・債券・投資信託など、資金の運用方法の知識 |
D.タックスプランニング | 所得税・法人税・消費税など税金(TAX)に関する知識 |
E.不動産 | 不動産取引・査定・法規等の知識 |
F.相続・事業承継 | 贈与・相続に関する法律や税金の知識 |
上記の通り1級FP学科試験の出題範囲は3級・2級と遜色ありません(あくまで、科目名だけですけどね)。AFP・CFP等を経由した実力者が受験する資格等級のため、他国家資格である社労士・行政書士・司法書士等に匹敵する合格率の低さ(平均10%前後)を誇っており、高難易度であることは間違いありません。
1級FPの学科試験は、社労士・税理士・行政書士・司法書士・宅建士等、FPと親和性のある日常の法律に関わる士業系資格の出題範囲を網羅しているようなものなので、出題範囲は広範囲に渡り、深くなっています。運悪くまとまった法改正が入った場合はなおさら難易度は上昇します。
更に、受験者数が少ないことから対策テキストや通信講座等も少ない実情があります。まあ、こればっかりは需要と供給の関係なので仕方ないことですが、合格率を下げている大きな原因の1つと言えるでしょう。
2級FPから1級を受験される方は、少なくとも過去問をこなした上で+プラス対策講座を受講するなどして、より多くの事例に触れる事が近道と考えます。さらに、時事ネタの収集を癖付けするなど、FPにかかる情報を能動的にゲットしたり、法改正は実際に施行される前の段階で概要を自分で調査・分析するぐらいの気概がないと、1級FPの学科試験に合格するのは困難かと思います。
1級FP技能士 実技試験の内容をチェック
学科試験は金財のみの開催でしたが、実技試験は両団体とも開催しています。金財が面接で日本FP協会が筆記である点が大きく異なっています。
1級FP 実技試験 金財(きんざい)
科目名 | 資産相談業務 |
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金財の実技試験は口述式、すなわち面接形式で行われます。と言っても、就職面接のように貴方の経歴をねちっこく質問されるわけではなく、ある事例に基づいた相談者に扮した審査員のお悩みを解決する提案をする形になります。上記赤ペンで強調表示しているとおり、想定事例は不動産と相続・事業承継に関連したものとなっていますので学科試験の出題科目よりもまだ範囲が絞られているのでマシと言えます。
直近の実技試験の出題を例に取ると、実家の敷地価格の相続税評価額8,000万円で夫は大手メーカー勤務という、管理人にしてみれば「お金もちすぎるだろ・・・」というご家庭において、母親の死去に伴う相続の進め方や、ふるさと納税の方法や仕組みについて教えて欲しいとの相談事例が示されています。
具体的事例が面接開始の約15分前に渡されますので、よく読んで情報整理してから12分間の面接に臨む形になります。事例はあくまで概略的なものなので、問題の本質となる部分や情報として不足している部分は相談者とのトークの中で聞き出して行くことになりますし、検討・対策・提案も12分間の中で行いますので必至に喋っているとあっという間の12分間になると思います。
現状、金財の実技試験の対策テキスト的なものは充実していません。通信講座や資格学校を除けば、実技試験を主催している金財が出版している問題集ぐらいしか存在していないという悲しい現実があります。さらに口述式であるが故、金財公式ホームページに想定事例は示されているものの、どのように回答すると高得点がゲット出来るかは示されていないのです。
面接形式の試験は「こう来たらこう返す」「この設問はこういう回答を望んでいる」と言う対応方法をどれだけツールとして持っているかという事と、ツールを組み合わせて言葉に出来るかで決まります。特に業界経験の少ない方はこのようなツールが身についていない状況ですから、限られた対策テキストを読み解いて傾向を掴み、口に出して何度も体に覚えさせる事が唯一の近道と言えます。
「面接がどうしても嫌だ!」という方は、日本FP協会の実技試験であれば、筆記のみですので日本FP協会で1級FPを取得しても良いかと思います(管理人は面接が嫌いなので日本FP協会一択です)。
1級FP 実技試験 日本FP協会
科目名 | 資産設計提案業務 |
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日本FP協会の1級FP実技試験は、筆記試験です。上記の出題内容だけ見ると3級・2級FPとあまり変わらないような印象を受けますが、出題の範囲はかなりの広範囲を覚悟しておく必要があります。
1問に対して複数の穴埋め回答が必要な問題や「300文字程度で述べよ」など論述式の問題が出題されます。論述式問題は駄目だと思ったら飛ばして他で得点を稼ぐ戦略が重要となってきます。
CFPを経由して学科試験免除で日本FP協会で実技試験を受けられる方も多いはずなので、1級FPの出題範囲の大部分は把握できているとは思います。そのため合格率はかなり高いものとなっていますが、問題集等で不足分をインプット・アウトプットして試験に臨むのが確実です。
把握していないと致命的?!法令基準日とは?
FPの学習の根幹は、いわば法律のお勉強に他なりません。よって、試験問題にいつ時点までの法改正が当てはまるのかは重要です。古い法文を暗記した状態で試験に望んで、自分的には正解を記載したつもりが法改正がなされており、事例問題1個まるまる不正解となってしまっては泣くに泣けません。
法改正があった部分に限って出題される傾向が高くなっているという点も厄介です。よって、FPに限らず法律が絡む資格試験については、法改正に目を光らせておく必要があるのです。
以下に法改正の一例を示しておきます。確定拠出年金というホットな話題ですので、重箱の隅をつつくような出題に打ってつけの改正じゃないでしょうか?。
加入者が数百万人増加するとの試算が出されていますので、ちょっと視点を変えると対象者の範囲拡大に伴い、FPとしてはビッグな市場が1つ誕生したという事になりますね。
法改正の一例(個人型DCにかかわる法改正)
[改正前]
平成28年12月31日までの個人型DCの加入対象者は、以下のいずれかに該当する者
- 自営業者等の国民年金の第1号被保険者
- 国民年金の第2号被保険者で確定給付型年金や企業型DCの加入者とならない者
[改正後]
平成29年1月1日からは、上記に加えて下記に該当する者も個人型DCに加入が可能
- 国民年金の第3号被保険者(専業主婦など)
- 公務員共済や私学共済の加入者
- 国民年金の第2号被保険者で確定給付型年金や企業型DCの加入者
- 60歳以上の方や現在国民年金の滞納、免除を受けている場合は利用不可
FPの資格試験では、試験日程ごとに「法令基準日」が設けられており例えば、9月の試験では4月1日時点の法令に従って出題される、と言った決まりがありますので整理しておきましょう。
■3級・2級FP共通 | |
試験日 | 法令基準日 |
2018/05/27 | 2017/10/01 |
2018/09/09 | 2017/04/01 |
2019/01/27 | 2018/10/01 |
■1級FP実技試験 学科 | |
試験日 | 法令基準日 |
2018/09/09 | 2018/04/01 |
2019/01/27 | 2018/10/01 |
■1級FP実技試験 金財 | |
試験日 | 法令基準日 |
2018/01/28 | 1級実技試験については、原則として試験日現在施行の法令等に基づくものとします。 |
■1級FP実技試験 日本FP協会 | |
試験日 | 法令基準日 |
2018/09/09 | 1級実技試験については、法令に基づく試験問題の法令適用は、平成30年4月1日時点で既に施行(法令の効力発行)されているものを基準とします。 |
■CFP資格審査試験 | |
試験日 | 法令基準日 |
2018/06月 | 2018/01/01 |
2018/11月 | 2018/04/01 |
■全体共通 | |
試験範囲に含まれる時事的問題など、FPとして当然に知っておくべき事項については、基準日にかかわらず出題される可能性があります。 |
ただ上記のような情報を知っていたとしても初学者の方はそこまで気が回らないと思いますし、法の施行年月日を意識しつつ学習する人はいないと思いますんで、法改正のトリガー(情報)を第三者に挙げてもらうのが一番手っ取り早いと思います。
市販のテキストで自学自習している方であれば、出版社のホームページで法改正に追従した情報を流してくれている場合もありますが、お手元の書籍の内容が差し替わる分けではありませんし、自分で逐一ホームページを確認するのは結構手間です。
また法改正は毎年かなりの量がありますから、自分で情報を収集していたのでは時間がかかります。通信講座を受講している方は、法改正対応を講座のサービスに組み込んでいるものも多く、様々な形で素早く情報発信してくれますので有利に学習を進める事が可能です。
受講している通信講座によって異なりますが、例として以下のような形で法改正の情報発信をタイムリーに発信してくれますので上手に活用して行きたいですね。
通信講座は法改正に強い
- メールマガジンで法改正情報の共有
- テキストの差し替え版を送付
- 法改正レジュメによる情報連携
- 法改正部分だけに絞ったオリジナル問題集の提供
- 法改正対策のオンライン講義動画の提供
このような法改正の情報提供はサポートサービスの部類に入りますので、初学者の方向けにサポートサービスの選択方法を記事にしています。よろしければご参照下さい。
管理人的、FP資格試験の出題内容についての総括
今回は資格等級別・団体別に出題内容の情報を記載してみました。初学者向けの視点で考えると、合格に結びつきやすいルートは以下の通りとなります。
初学者向け、合格に結びつきやすいルートの整理
- 団体別の実技試験の種類や出題内容を知る
- 通信講座・対策本の充実度合いを知る
- 受験する実技試験を決定する
- 団体が自動的に決定する
- 学習開始!
しかし、道中ニーズ分析のセクションでお話したとおり「将来どのようになりたいか?」「FPを取得する目的は何か?」を念頭において学習を進める事が大切ですから、「出題内容が簡単!」「合格率が高い!」と言った理由でご自身の可能性を狭めるような事は、くれぐれもなさいませんようにと申し上げておきます。
出題内容は文字で表現されても中々イメージしづらい事もあるかと思いますので、実際に問題をナナメ読みしてみると良いかと思います。両団体ともご丁寧に過去出題された問題をPDF形式で確認できるようにしてくれていますので一度御覧ください。
金財の方がとってもお硬いイメージで、日本FP協会の方が具体性に富んだ問題が出題されている事がすぐに理解できると思いますよ。
金財(きんざい)|試験問題日本FP協会|試験問題・模範解答